景気動向指数

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  1. 景気動向指数

景気動向指数の概要

引用参照資料

  1. https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di3.html

目的

景気動向指数には以下の2種がある。

  1. コンポジット・インデックス(CI)
    • 構成する指標の動きを合成することで景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定。
  2. ディフュージョン・インデックス(DI)
    • 構成する指標のうち、改善している指標の割合を算出することで景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定。

それぞれに以下の3つの指数がある。

  1. 景気に対し先行して動く先行指数
    • 景気の現状把握に利用
    • 主に需給の変動
  2. ほぼ一致して動く一致指数
    • 一般的に、一致指数に数か月先行することから、景気の動きを予測する目的で利用
    • 主に生産の調整
  3. 遅れて動く遅行指数
    • 一般的に、一致指数に数か月から半年程度遅行することから、事後的な確認に利用
    • 主に生産能力の調整

利用方法

  1. CI
    • 一般的に、CI一致指数が上昇している時は景気の拡張局面、低下している時は後退局面であり、CI一致指数の動きと景気の転換点は概ね一致する。
    • CI一致指数の変化の大きさから、景気の拡張又は後退のテンポを読み取る。
    • ただし、例えば景気の拡張局面においても、CI一致指数が単月で低下するなど、不規則な動きも含まれていることから、移動平均値をとることにより、ある程度の期間の月々の動きをならしてみることが望ましい。
    • 毎月の統計表には、足下の基調の変化をつかみやすい3か月後方移動平均と、足下の基調の変化が定着しつつあることを確認する7か月後方移動平均をあわせて掲載している。
    • 景気の基調をみる上では、経済活動の拡張(又は後退)がある程度の期間、持続しているか、またある程度の大きさで変化しているかが重要である。
    • したがって、CI一致指数が続けて上昇(又は下降)していても、その期間が極めて短い場合は、拡張(又は後退)とみなすことは適当でない。
    • また、CI一致指数がこれまでの基調と逆方向に十分に振れてから、その基調が変化したとみなすことが望ましい。
  2. DI
    • DIは採用系列のうち改善している指標の割合のことで、景気の各経済部門への波及の度合いを表す。
    • 月々の振れがあるものの、DI一致指数は、景気拡張局面では50%を上回り、後退局面では下回る傾向がある。
    • DIは、景気の拡張が経済活動のより多くの分野に浸透していったことを示す指標であり、景気拡張が加速していることを示すものではないことに注意が必要である。
    • また、毎月公表されるDIは、景気転換点を判定するヒストリカルDIとは異なる指標である。
  3. CIとDIとの違い
    • DIは景気の各経済部門への波及の度合いを表す指標であり、各採用系列が大幅に拡張しようと、小幅に拡張しようと、拡張系列数の割合が同じならば同じDIが計測される。
    • CIは景気の強弱を定量的に計測する指標であり、DIが同じ数値で計測されたとしても、各採用系列が大幅に拡張していればCIも大幅に上昇し、各採用系列が小幅に拡張しているならばCIも小幅に上昇する。
    • このように、CIは、DIでは計測できない景気の山の高さや谷の深さ、拡張や後退の勢いといった景気の「量感」を計測することができる。
    • 一方、DIが異なる数値で計測されたとしても、多くの系列で小幅に拡張した時と、一部の系列が大幅に上昇した時とで、同じCIの上昇幅が得られる場合がある。
    • このように、CIの変化幅そのものからは各経済部門への波及度合いの相違を把握することが難しいため、CIの変化幅に対する各採用系列の寄与度やDIをあわせて利用するのが望ましい。

統計の作成方法

  1. CI
    1. 採用系列を選択する
      1. (1)生産、 (2)在庫、 (3)投資、 (4)雇用、 (5)消費、 (6)企業経営、 (7)金融、 (8)物価、 (9)サービス、の9つの経済部門から、
      2. (1)経済的重要性、(2)統計の継続性・信頼性、(3)景気循環の回数との対応度、(4)景気の山谷との時差の安定性、(5)データの平滑度、(6)統計の速報性、の6つを選択基準として、
      3. 先行指数は主に需給の変動との関係から、一致指数は主に生産の調整との関係から、遅行指数は生産能力の調整との関係から、採用系列を選択します。
    2. 各採用系列の前月と比べた変量を算出する
      1. 各経済部門の代表的な指標の前月からの変動を計測する。
      2. 各採用系列について、以下の対称変化率(注意1)を求める。 $$対称変化率=\dfrac{当月値-前月値}{(当月値+前月値)\div2}\times100$$
      3. ただし、負の値を取る系列(前年同月比を系列とするもの)や比率(有効求人倍率など)である系列は、対称変化率の代わりに前月差を用いる。(以下、「対称変化率」には、「前月差」の場合も含む。)
      4. なお、景気拡張期に下降する逆サイクルの系列については、符号を逆転させる。これにより、景気と同方向に動く系列として扱うことが可能になる。
    3. 各採用系列の変化の量感を求める
      1. 過去の平均的な動きと比較した変動の大きさ(量感)をみるため、対称変化率の振れ幅の目安及びトレンドを求め、基準化変化率を算出する。
      2. まず振れ幅の目安を求める(注意2)。
        1. 各系列の平均的な振幅を求め、後述の基準化に用いる。振幅の目安となる統計的指標のうち、「外れ値」に左右されない四分位範囲を用いる。
        2. 各採用系列において、対称変化率を大きい順に並び替え、上位25%値と下位25%値との差(四分位範囲)を求める。 $$\vphantom{dummy}四分位範囲=上位25\%値-下位25\%値$$
      3. 「外れ値」処理を行う(注意3)。
        1. 「外れ値」によるCIの振れを抑えるため、各採用系列の変動のうち急激な部分について、「外れ値」処理を行う。
        2. 各採用系列の変動を、体系全体に発現する「共通循環変動」と、当該系列のみに発現する「系列固有変動」に分解、「外れ値」処理の対象を「系列固有変動」に限定する。
        3. 各採用系列の「系列固有変動」の幅が「閾値×四分位範囲」以上の場合は「外れ値」とし、「系列固有変動」の幅を「閾値×四分位範囲」で置き換える。
        4. 閾値は、全ての系列に共通の値を用いる。
      4. 変化率のトレンドを求める。
        1. 移動平均により、各採用系列の対称変化率の長期的な傾向(トレンド)を求める。景気循環よりもなめらかな直線的な動きを示す。
        2. 移動平均にも様々あるが、将来の値が欠損することから、後方移動平均を用いる。また、平均的な過去の景気の一循環の期間を考慮し、60か月後方移動平均とする。
        3. 対称変化率のトレンド=「外れ値」処理後の対称変化率について、当月を含む過去60か月間を平均したもの
      5. 基準化する。
        1. 各採用系列の対称変化率(「外れ値」処理後)をみると、トレンドがプラスを示す系列もあればマイナスを示す系列もあり、更に、対称変化率の振幅が大きい系列もあれば小さい系列もある。
        2. 対称変化率の振幅とトレンドを調整することによって、各採用系列の対称変化率を、量感(基準化変化率)の形に揃える。 $$基準化変化率=\dfrac{外れ値処理後の対称変化率-対称変化率のトレンド}{四分位範囲}$$
    4. 各採用系列の量感(基準化変化率)を合成する(注意4)
      1. 各採用系列の基準化変化率を平均する(合成基準化変化率)。
      2. 同様に、対称変化率のトレンド、四分位範囲の平均を求め(合成トレンド、合成四分位範囲)、基準化と逆の操作を行い、変化の大きさを復元する(合成変化率)。 $$\begin{eqnarray}合成変化率&=&対称変化率のトレンドの採用系列の平均\mathrm{+}\\&&四分位範囲の採用系列の平均\times基準化変化率の採用系列の平均\end{eqnarray}$$
    5. 前月のCIの値に累積する
      1. 合成変化率は、前月と比較した変化の量感を表している。水準(指数)に戻すため、前月のCIに合成変化率を掛け合わせることにより、当月CIを計算する。
      2. ただし、合成変化率は、各採用系列の対称変化率を合成したものであることから、合成変化率もCIの対称変化率として扱う。そのため、当月CIは、以下の式のように累積させて求める。 $$当月の\mathrm{CI}=前月の\mathrm{CI}\times\dfrac{200+合成変化率}{200-合成変化率}$$
    6. 注意
      1. 対称変化率では、例えば、ある指標が110から100に低下した時(9.5%下降)と、100から110に上昇した時(9.5%上昇)で、変化率の絶対値が同じになる。
      2. 例年、3月分速報時点に、1年分データを追加し、昭和55(1980)年1月分から直近の12月分までの期間で四分位範囲を計算する。
      3. 閾値は、例年、3月分速報時点に、昭和60(1985)年1月分から直近の12月分までの一致系列の「系列固有変動」のデータから、5%の外れ値を算出するよう見直している。四分位範囲は、「外れ値」処理のために用いるものであり、以降の基準化等の際に用いる四分位範囲とは異なる。
      4. CI先行指数とCI遅行指数の合成トレンドは、CI一致指数の採用系列によって計算された合成トレンドを用いている。
  2. DI
    1. 採用系列の各月の値を3か月前の値と比較して、増加した時には「+」、横ばい(保合い)の時には「0」、減少した時には「-」とした変化方向表を作成する。
    2.  その上で、先行、一致、遅行系列ごとに、採用系列数に占める拡張系列数(+の数)の割合(%)をDIとする。横ばいの系列は0.5としてカウントする。 $$\mathrm{DI}=拡張系列数\div採用系列数\times100(\%)$$
    3. なお、各月の値を3か月前の値と比較することは、不規則変動の影響を緩和させる効果がある。3か月前と比較して増加、減少、同一水準であることは、3か月移動平均の値が前月と比較して増加、減少、同一水準であることと同じである。